音楽の編み物

シューチョのブログ

2006-01-01から1年間の記事一覧

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (2)

暗譜と暗譜主義 (2) 第1章 さて、暗譜─置譜に関する、2人の往年の巨匠によるインタビューへの回答も有名ですね。 (聞き手:暗譜で指揮なさらないのですか?) 「スコアを前に置いて、邪魔に思ったことは一度もありませんからね。」 〜ブルーノ・ワルター…

ひとりぼっちの宇宙人(6) I.1-2

第I章 ダン=セブンの二重性 第1節 ダンとセブンの同一性 1-2 ウルトラマンとは誰か 光を継ぐもの 同一型か別人型か。次に、『ウルトラマン80』以来16年ぶりの1996年、ウルトラマン生誕30周年の年に放映された『ウルトラマンティガ』に焦点を当てよう。…

ひとりぼっちの宇宙人(5) I.1-2

第I章 ダン=セブンの二重性 第1節 ダンとセブンの同一性 1-2 ウルトラマンとは誰か ハヤタとは誰か さて、問題はこの名場面の直後なのだ。独立の命を授かり、ウルトラマンと分離したハヤタの開口一番の台詞は次の通りである。 ─── 「キャップ!あれで…

ひとりぼっちの宇宙人(4) I.1-2

第I章 ダン=セブンの二重性 第1節 ダンとセブンの同一性 1-2 ウルトラマンとは誰か ~変身の二義性とヒーローのアイデンティティー~ 以上のように、「ウルトラセブンとウルトラマンの相違」は「主観的純粋感動と客観的大義名分の相違」とまとめてよい…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (7)

2000年 吹奏楽部の彼女ら彼らと普段一緒に音楽をやっていると、正直、即刻中断して帰りたくなる程ひどい状態のときもありますが、調子のいいときは、確かにミューズの神が訪れたかのような豊かな響きの出ることがあります。こういう稀なる瞬間を彼女ら彼らと…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (6)

1999年 指揮者とは何か。指揮活動とは何か。小学6年の運動会でのドラムメジャー(バトンとホイッスルで鼓笛隊の行進を率いる先導者)の経験にまでは遡らないとしても、中学2年にピンクレディーの「UFO」を指揮したのがデビューとすれば、20年はやってい…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (1)

暗譜と暗譜主義 (1) ──「暗譜」の定義と造語「置譜(おきふ)」について── 本稿において「暗譜」とは「楽譜を前に置かないで演奏する場合」を指すことにします。これに対し、「楽譜を前に置き、それを見て演奏できる状況にあるような場合」を「置譜(おきふ…

ひとりぼっちの宇宙人(0-2) 参考資料表

──随時更新中── 参考文献・引用文献 ・池田,岸川[80] 池田憲章,岸川靖『ファンタスティックコレクションNo.20 特撮ヒーローのすばらしき世界 ウルトラマン』(朝日ソノラマ 1980年) ・池田,岸川[79] 池田憲章,岸川靖『ファンタスティックコレクショ…

ひとりぼっちの宇宙人(0-1) 資料の参考・引用について

参考文献・引用文献および参考映像メディアについては、それと関連する本文の句点直前や、それから引用した部分の直後に、( )内にて略記する。その略記の意味には次の(1) (2) の2種類がある。 (1) 参考文献・引用文献の場合 (著者・執筆者 書籍略号:頁数…

ひとりぼっちの宇宙人(3) I.1-1

第 I 章 ダン=セブンの二重性 1 ダンとセブンの同一性 1-1 ウルトラセブンとは誰か ~ウルトラマンとの相違を軸に~ 『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』の本質的相違とは何か。序章でも述べたが、それは、ウルトラマンとハヤタが全く別人/別人格である…

ひとりぼっちの宇宙人 (2) 第 I 章目次

─ 序 ─ 第 I 章 ダン=セブンの二重性 1 ダンとセブンの同一性 1-1 ウルトラセブンとは誰か ウルトラマンとの相違を軸に ウルトラマンとハヤタの出会い ウルトラマンの理由 モロボシダン誕生 ウルトラセブンの純粋性 1-2 ウルトラマンとは誰か 変身の二義性…

わかる人,わかる時,わかる可能性 (5)

1998年 大学受験浪人の時でした。当時通っていた予備校の英語講師・表三郎(おもてさぶろう)先生が、授業中に居眠りをしている受講生を見つけて言った言葉です。──「彼を起こしてあげなさい。…気をつけないと風邪を引くんだよ、冷房の効いた部屋で寝ちゃう…

わかる人,わかる時,わかる可能性 (4)

1997年 本校の中学生たちにとって何より幸福なことの一つは、Y先生の伴奏で校歌を歌えることでしょう。各学期の始業式と終業式の度に、さらには入学式や卒業式で(このときは高校生も)、講堂のグランドピアノによる先生の伴奏が聴ける。先生のピアノは単に…

わかる人,わかる時,わかる可能性 (3)

1996年 音楽表現の指示を連ねて終わる普段の合奏練習のその奥で、語らずに置いてきたことを、他ならぬその練習成果の最大の発表のときとなるこの定期演奏会に寄せて、言葉にしておこうと思います。 第一。 降りしきれ 雨よ 降りしきれ すべて 許しあうものの…

わかる人,わかる時,わかる可能性 (2)

1995年 「私の体は、私だけのものではない」─『ウルトラマン』最終回で、倒れた自分を迎えに来た故郷の星の仲間に向かってウルトラマンはこう告げます。そして、「自分がただ帰ることは一心同体であるハヤタ隊員の死を意味する、帰るなら彼に命を預ける(=…

わかる人,わかる時,わかる可能性 (1)

1994年 吹奏楽は芸術の器の一つです。楽器とその奏法という一見特殊で専門的な道具と技術も、外ならぬ人間がこれまで創造・継承・発展させてきたものなのだから、今を生きる人間である自分自身の頭脳と身体と感性とをまずはそのままそれらに駆使してほしい。…

ひとりぼっちの宇宙人(1)

─ 序 ─ モロボシダン=ウルトラセブン、彼こそは、自己分裂を背負い自己犠牲に生きた悲劇のヒーローである。彼は、純粋で孤独な青年だった。純粋であるがゆえに闘わざるを得ず、闘えば闘うほど孤独にならざるを得なかった。彼は「何という美しい星だ」と感動…