音楽の編み物

シューチョのブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

トリカード・ムジーカの集い_2019.12.28

年末のトリカード・ムジーカ。12人のエロイカ第1楽章、ブラームス第3緩徐楽章、ベートーヴェン第5。第5第1楽章再現部のフェルマータの響きが美しく、そのまま聴いていたくて長くなりました…いえ、「今、長くしたのはこの私だ」(クナ風)😃

トリカード・ムジーカの集い_2019.11.30

台風による中止を挟んだ、2か月半ぶりのトリカード・ムジーカの集い。僕を含め7人の、エロイカ第1楽章、ブラームス第3緩徐楽章、ベートーヴェン第5。 ──写真は休憩時のもの── さすがに今日は音の不足感が否めないか…と、始めるまで抱いていたその不安は、冒…

シフのベートーヴェン

サー・アンドラーシュ・シフ&カペラ・アンドレア・バルカによる、ベートーヴェンPf協奏曲全曲演奏会。1日目は2、3、4番、2日目は1、5番。 無限のニュアンスに満ちた自在な表現。少人数のオーケストラが、そのシフに、ついていくというより、微笑んで苦もな…

ワルターのモーツァルト(1)

よーうやくSACD化されたワルターのステレオシリーズ。 モーツァルト&ハイドンのセットが今日届きました。 「これをまず聴こう」とふと思って、フランチェスカッティとのコンチェルトをかけたら、音場の近さにびっくり。オーケストラのVn.の細やかな節回し。…

幻の蝶

2019年10月26日、空間の詩人・清水きよし「幻の蝶」堺公演。 …壁を伝い、重い荷物を持ち上げ、「まるでほんとに壁や荷物があるみたい」…パントマイムとはそこの巧さだと思っていた。そうした先入観の浅薄さには、今や我ながら恥じ入るよりもむしろ可笑しい。…

現代数学の難しさについて

数学セミナー9月号。特集「現代数学の難しさについて」には,思わず膝を打つことが書かれていました。 ──────── 私たちが数学に遭う際,1度目はえてして要領を得ず,[理解は2度目]以降となる。人に数学を説明すると「よく分かりました.前の先生はなぜこう説…

フルトヴェングラーのベートーヴェン(1)

ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 GLAND SLUMレーベルのオープンリールによる復刻シリーズ、ワルター以外にフルトヴェングラーにも手を染めています。「…モノーラルと…

ワルターのドヴォルザーク (1)

ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調作品88 ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団 オーディオの買替やセッティング変更をしたときは、いつもこの第3楽章をレファレンスとして再生してきました。 勢いのよいテンポ感とチャーミングな節回し、瑞々しいコロン…

三つの G は涙の粒である。その雫が Es のフェルマータである。

音楽テーゼ集 (10) 三つの G は涙の粒である。その雫が Es のフェルマータである。 ─── 交響曲第5番ハ短調作品67(“運命”) ベートーヴェン自身が第1楽章冒頭動機について「運命はこのように扉を叩く」と言ったとか言わないとか。「実話かどうかに拘らず…

「エロイカ」葬送行進曲158小節の変イ音は,魂の発音=「冥音」である。

音楽テーゼ集 (9)「エロイカ」葬送行進曲158小節の変イ音は,魂の発音=「冥音」である。 ─── 交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」 第1楽章:序奏が置かれず、提示部が驚きを伴って突然開始、短い動機が次々と現れ、運動的で細かい音符が周到に縦横に編み…

ベートーヴェンの小交響曲は、小さな大交響曲であり、思索する情熱である。

音楽テーゼ集 (8) ベートーヴェンの小交響曲は、小さな大交響曲であり、思索する情熱である。 ─── ベートーヴェン:交響曲第8番へ長調 第7と第8の2つの交響曲はほぼ並行して作曲され、作曲者自身は第8の方が気に入っていたと伝えられる。“リズムの神化”…

ベートーヴェン最初の交響曲は、歌って遊ぶ大きな小品である。

音楽テーゼ集 (7) ベートーヴェン最初の交響曲は、歌って遊ぶ大きな小品である。 ─── ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調作品21 斎藤秀雄はその著書『指揮法教程』において、この曲の第2楽章を課題曲としている。しばらくこの曲と向き合い、なるほど、さ…

メンデルスゾーンの管弦楽は、言葉の無い歌である。

音楽テーゼ集 (6) メンデルスゾーンの管弦楽は、言葉の無い歌である。 ─── メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」作品26 メンデルスゾーンの交響曲・管弦楽曲の特徴とは、歌謡主題の美しい旋律を交えつつ、純器楽的な動機が織りなす“音のドラマ”が繰り…

編曲とは、原曲とは別の特殊解へ至らんとする道である。

音楽テーゼ集 (5)一つの音楽作品を編曲の対象としてみるとき、それには、微分方程式の一般解に相当するような、“原曲以前”の原初的側面がある。 原曲とは、その微分方程式の特殊解の一つである。 編曲とは、原曲とは別の特殊解へ至らんとする道である。 ────…

音楽作品は、量子的に振る舞う多様体である。

音楽テーゼ集 (4) 音楽作品は、量子的に振る舞う多様体である。 演奏表現とは、音楽作品がそれによって初めて一つの姿に象られて現れ出るような、一つの行為・形態である。音楽作品は、別の演奏表現によっては別の姿に象られて現れる。互いにときに著しく相…

音符とは言葉である。

音楽テーゼ集 (3) 音符とは言葉である。(テーゼのみ)

楽譜とはテクストである。

音楽テーゼ集 (2) 楽譜とはテクストである。 文章(文学作品、評論、他あらゆる類の文章)とは、書き言葉、書かれた言語である。その典型的な存在の仕方の一つは、白紙に活字を並べて綴じた「テクスト=書物(本)」という存在の仕方である。もっとも、活字…

音楽とは抽象である。

音楽テーゼ集 (1) 音楽とは抽象である。 例えば「エロイカ」の第2楽章について、「行進曲なのだから歩けないような遅いテンポは間違い」であるとして、フルトヴェングラーなど旧時代の巨匠たちの演奏を批判する論をしばしば耳にする。しかし音楽を演奏する…

音楽テーゼ集

新カテゴリー「音楽テーゼ集」を開始しました。 一つの文(主として英語構文でいう第2文型の文)=テーゼを冒頭に掲げ、それについて後に説明を加える、というスタイルで書くことを原則としているので「テーゼ集」と称しています。 旧ブログで公開していた「…