音楽の編み物

シューチョのブログ

劇団でこじるしー 激闘!ハッピーファクトリー

2023年11月23日
劇団でこじるしー  第13回公演
激闘!ハッピーファクトリー

早ひと月ほど経ちました。2年ぶりの観劇に感激。
 
劇団でこじるしー を初めて観たのは、妖怪ナゼコが初?登場した年。「なぜと訊くな」「なぜと訊いたな〜!」の“大嵐!(椅子取りゲーム)”的一言ですべてをひっくり返す衝撃パワーの恐怖から早数年、今回はロボットと人間をテーマにした哲学的大活劇。ロボットとは何か。ロボットは人間になれるのか。人間とは何か。……そこには、私の専門?である特撮論の観点からは『人造人間キカイダー』のキカイダー存在論や「ハカイダーの悲劇」、また、差別問題をロボット物語に託した『鉄腕アトム』、そして人間そのものの定義を綴った?ハイデガーの「現存在」、等々、(ロボットの存在から)「人間とは何であるのか」という実存の問題へと行き着く過去の文化・思想の、私が見聞きしてきた狭い範囲ではあれそれらのおよそすべてが盛り込まれた、すごい演劇でした。二転三転で繰り広げられる物語展開を、これはいったいどこへ行く?と息を呑みつつ追っていった先の最後、「殺さない理由とは」という問いに主人公の一人が応答する山場で出た語句は「直観」でした。理由など要らないという、おそらく最も確信されるべき理由。…人によってははぐらかしのようなオチに聞こえたのでしょうか?ハイデガー倫理学者も怒り出すかも?けれどもこの私にとっては、敬愛愛読する柳宗悦のこのキーワードが出た瞬間に、この日一番の共感/感動の波に打たれ、全身にしびれが走ったのでした。その哲学的問いに芸術文化が為すべき応答/回答は(もちろん語句のみでなくそこへ至る諸々を含め)これだ!と改めて確信できました。
 
さらに驚くべきは、これだけ錯綜した物語を、たった一回のリアルタイムの観劇で、不明点がまったくない形で鑑賞できたことです。もちろん、実はこちらが気づきえなかった含みはまだまだあったかもしれないにせよ、“初見で落ちる(アマオケ用語?)”ようなことにはならずにしっかり筋を追跡できたと思える後味・達成感があり、観る側としてはすごく嬉しかった。それでいて、「あぁ楽しかった」だけに終わるのでなく、その内容はその後も尾を引き、未だに深く考え続けるきっかけにもなっている、という…😌。
 
(今回は原作は別の方で共作?だそうですが)作者兼演者の川上立さんの筆力と演技に脱帽。以前のナゼコ役で今回はいわゆるヴィラン役の細谷明代さん(写真)にも、またまたすっかり魅せられました。

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