音楽の編み物

シューチョのブログ

2020-01-01から1年間の記事一覧

純青の香りと味わい

トリカード・ムジーカの帰りに最近ちょくちょく寄るようになった酒店で、今日買ったお酒は「純青」。味や香りの特徴を記したポップ(店の人が書いて付けたもの)を読んで何となく好みに合いそうだと思ってこれにしたんですが、家に着いてから富久錦株式会社…

甘い生活(野口五郎)

三連連唱の調べ[第8回](短調編) [07] 甘い生活☆☆☆☆(山上路夫/筒美京平、野口五郎) https://www.youtube.com/watch?v=AvIpuUdS0iQ 「甘い生活」は前回の「池上線」と非常に似ていて、特に歌い出しアウフタクトからの4拍の旋律線はほとんど同じです。そ…

池上線 ─後ろ姿を追うアウフタクト単連唱─

三連連唱の調べ[第7回] [06] 池上線☆☆☆☆(佐藤順英/西島三重子、西島三重子) 実は、本連載を始めるきっかけとなったのが「池上線」でした。確か、「地底のランナー」(注1)をYoutubeで視聴した際に横のリストに挙がってきたのだったと思います。 注1…キ…

話してよ、話してよ。─岡崎友紀─

三連連唱の調べ[第6回] ☆☆☆☆(拍頭連唱歌、切分連唱歌)拍頭単連唱または拍頭複連唱を多く含むもの。長さ10以上の連唱を含むもの。切分連唱や切分準連唱を多く含むもの。 [04] 氷雨☆☆☆☆(とまりれん、佳山明夫)[05] 想い出まくら☆☆☆☆(小坂恭子) 強拍か…

僕にまかせてください ─流麗な多連唱─

三連連唱の調べ[第5回] 短調編 (3) 僕にまかせてください [03] 僕にまかせてください☆☆☆☆☆(さだまさし、クラフト) さだまさしのグレープ時代の提供曲の佳作。婚約相手の母親の墓に参る歌。相手を失う「精霊流し」よりはまだしも明るい歌といえます…。歌…

能登半島 〜三連連唱の鑑〜

三連連唱の調べ[第4回] 短調編 (2) 能登半島☆☆☆☆☆ 連唱度の高さを☆の数によって五段階に分けています。☆の数毎の呼び名と説明は、「定義」や「類別」とは違って、もっと緩い、一つの目安として付けています。 ☆☆☆☆☆(多連唱歌) 長さ10以上の連唱が複数箇…

三連連唱の調べ[第3回]

短調編 (1) 津軽海峡・冬景色 では、いよいよ三連連唱歌の紹介と解説に移ります。今回からしばらくは「短調編」をお届けします。 ☆印を付けて五段階に分け、☆の多い順に挙げていきます。あくまで私の主観に基づいて、“連唱の度合い”が高いものほど☆を多く付…

三連連唱の調べ[第2回]

──本稿(「三連連唱の調べ」全回全文)を亡き父に捧げる。── 定義集 以下のすべてにおいて,k,nは正の整数(1,2,3,……)とする。 (1) 「拍節音価」および「単位音価概念」「旋律中のどの長さが1拍の長さであるか」については,本稿で扱う曲ではすべて「聴…

三連連唱の調べ[第1回]序説

日本のいわゆる歌謡曲─ポップスについて、その1拍の音符の音価を仮に4分音符に統一することにしましょう(実際の楽譜もほとんどがそうだろうと予測します)。すると、基本となるリズムについて、1拍中に入る8分音符が2つではなく3つ、すなわち三連符であるよ…

浅田美代子「赤い風船」幻想

浅田美代子「赤い風船」が出てきたとき、 浅田美代子は歌が下手だ というイメージがどこからも流布された。私の家族も「もうちょっと何とかならないか…」と苦笑しつつTVを見ていて、小学生の私自身もそのとき「よくこれで歌を出したなぁ」という印象を持った…

『シン・ゴジラ』について

PC内のファイルを整理していたら、『シン・ゴジラ』鑑賞直後に書きかけていた拙文が出てきました。気の向くままわーっと書いたものの、けっきょく発表は控えたのでした。当時、巷が絶賛する中、大勢に屈した(頭掻)?屈したというより、あまりに周囲と自分…

柳宗悦『工藝の道』(やなぎむねよし、講談社学術文庫、2005年)

2009年から数年に渡って、何冊もの文庫本に収められた柳宗悦の幾多の著述に触れてから、柳の文章に自分の内面の思考と外向の実践とを支えられてきました。民藝にあやかって楽藝(['gakugei]:第1音節にアクセント)と称して、トリカード・ムジーカの活動を…

駒尺喜美『紫式部のメッセージ』(こましゃくきみ、朝日選書、1991年)

駒尺喜美さんは祖母・小西綾と約50年連れ添った同居人。小西・駒尺は日本のフェミニズム黎明期を牽引したうちの二人で、一定以上の世代の女性学に携わる人ならまず知らない人はいないと信じます。綾は、単著は1冊も残さなかった運動家で、東京での勉強会の中…

渡植彦太郎『仕事が暮らしをこわす ─使用価値の崩壊─』(とのうえひこたろう、農文協人間選書、1986年)

就職して2年目の頃、農文協人間選書の渡植彦太郎「経済社会学」三部作『仕事が暮らしをこわす』『技術が労働をこわす』『学問が民衆知をこわす』をセットで購入、このうち、唯一読了できたのが本書です。キャッチィな書名から、何が書かれているのかだいたい…

ブルーノ・ワルター『音楽と演奏』(渡辺健 訳、音楽之友社、2013年新装復刊)

『主題と変奏』『ブルーノ・ワルターの手紙』と並ぶ、ワルター三大翻訳書の一つ。大学生の頃、『音楽と演奏』だけが長らく品切となっていました。確か大学の図書館などにも見当たらず…。で、そうなると、『変奏』『手紙』を読み終えていたわけでもないのに、…

ベッツィ&クリス『THE BEST OF BETSY & CHRIS』

「白い色は恋人の色」が出た1969年から6年経った小学4年生の頃、歌い出しである「花びらの白い色は、恋人の色…」の一節をラジオか何かで聞いて(か、ただふと思い出してか)「いいな、でも何だか能天気で物足りないな」と感じた記憶があります。何とも生意気…

Mr.ユニット『DIALOG あの時君に言えなかった台詞』

浅見昴生、新沢としひこのデュオ。 新沢としひこさん(おどけている方(笑))は、「世界中の子供たちが」や、つるの剛士さんもカバーした「にじ」などの作者でもあるシンガーソングライター。ソロ活動の方が圧倒的に長く、アルバムはたくさん出ていて、「バ…

ピーター、ポール&マリー『CARY IT ON』

小学校4年の頃から、60年代アメリカのプロテストソングにすっかりなじんでいました。父・小西岳のエスペラント訳の歌集をエスペラント関連の例会や合宿について行ったときに歌う──うたごえ運動の名残り?──ことで入門したのでした。ですから英語の原歌詞より…

S59・10・30 宇野功芳 幻のコンサート

====== やや硬質ではあるが、石橋メモリアルは響の美しいホールである。そして、その美しさは、皮肉なことに、客席に人がいないとき、天国的なまでの透明度に達する。「いっそ、お客を入れないでリサイタルをやろうか」「文字通り“幻のコンサート”になります…

『ワルター/音楽を語る フランス国立放送管弦楽団とともに』

『ワルター/音楽を語る』は、フランス国立放送soとのライブを収録した上に、ライナーノーツには生前のワルターと文通を果たした宇野功芳先生の長い解説、そして文字通り音楽を語るワルターの肉声が刻まれた盤も含む、ファン垂涎のセット。 高1の秋でしたか…

さだまさし『夢供養(ゆめくよう)』

小6当時、「勝手にしやがれ」や「愛のメモリー」を歌いまくるような歌謡曲少年だった私でしたが、「雨やどり」が出たのを知ると、そのコミカルな世界に魅せられ、さっそくシングル盤を買って(だったか、友人に借りたんだったか)聴き込みました。観客のウ…

カルロス・パイタの「英雄の生涯」

カルロス・パイタ、昔から名前だけは聞き覚えがありましたが、演奏を知ったのはネットで“拾い聴き”ができるようになった最近から(苦笑)。いやいやどうして、あなどれません。 ドヴォルザーク後期3交響曲(特に7番)なども素晴らしいのですが、この「英雄の…