音楽の編み物

シューチョのブログ

2007-01-01から1年間の記事一覧

わかる人、わかる時、わかる可能性 (15)

「高専ロボコン2007」のテーマは「風林火山ロボット騎馬戦」。「初のロボット同士の直接対決」ということでしたが、これを聞いた直後は僕は少し気持ちが曇りました。例年のテーマは、多角的で複雑なものが多く、多様なアイデアや技術を披露できる場面が豊富…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (20)

第7回「詩のボクシング」全国大会 ボクシングのリングの上で、1対1(青コーナー先攻、赤コーナー後攻)で自作の詩を3分間の制限時間内に披露してその面白さを競うというものです。主催者名は「詩のボクシング協会」ではなくて「日本朗読ボクシング協会」…

クリ拾い (11)

渡辺裕/増田聡ほか『クラシック音楽の政治学』(2005年、青弓社) 7人の著者による、「クラシック音楽」を社会学的に扱った論文集。つまり音楽の《内容》ではなくその《周縁》を論じています。 ここで採り上げるのは増田聡担当の第2章《「クラシック」に…

クリ拾い (10)

小森陽一『心脳コントロール社会』(2006年、ちくま新書) 「心脳コントロール」というのは、以前からの語でいえば「マインドコントロール」のことなのでしょうが、最近の“脳科学”ブームに乗って「心脳」という新語?によって呼ばれるようになっているようで…

クリ拾い (9)

すでに4回の放送を終えた『ULTRASEVEN X』について、ぼちぼち書こうかと。 『ネクサス』などにも言えることですが、プロットや内容(物語の背後の意味)が周到であればあるほど、台詞の少なさ=密度の小ささが毎回残念です。「ひとりぼっちの宇宙人」で、「…

クリ拾い (8)

ロラン・バルト『物語の構造分析』 (花輪光訳、みすず書房、1979年) この「クリ拾い」のコーナーでまだ書評というのを一度もやっていませんでした。「ちゃんと読んでから…」などと思っていると永遠に書けないので、もともと「拾い読み」と名付けたわけです…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (14)

TV番組の「学校へ行こうMAX」で,Mr.マリックが出身中学に赴き、体育館で全校生徒および全先生にスプーンを渡し、全員一斉にスプーン曲げをさせる、というパフォーマンスをやっていました。その実演の後のメッセージは次のようなものでした。 (スプーンが曲…

クリ拾い (7)

まとめんな! 「BSアニメ夜話」を最後の十数分見ました。『カウボーイビバップ』という作品を特集していました。といっても、この作品、僕はまったく未視聴(頭掻)。では何について書くのかというと、たいへん卑小な話題で申し訳ないのですが…。 未視聴で…

ひとりぼっちの宇宙人 (34)

第 IV 章 ダン=セブンという多面体 (2) 3 標的としてのウルトラセブン 第39・40話「セブン暗殺計画」(3) その代わりに、本挿話では、地球人(の代表であるウルトラ警備隊員やタケナカ参謀)とウルトラセブンとの交流がメインに描かれた。このことは、『ウル…

クリ拾い (6) ──ULTRASEVEN X

オンエアの日が迫った『ULTRASEVEN X』に触れておかなければなりませんね。毎日放送では10月6日土曜深夜3時25分からの開始だそうです。 僕は今年の初めに、思索日記(17)(18)で 「セブン40周年の記念の年に、リメイクを見たい」と書きました。 『メビウス』で…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (19) ─追悼・松村禎三(2)─

タワーレコード限定の「松村禎三の世界」というCDを購入。ビクターの音源で、おそらくLP時代に箱で出た松村禎三集(?名称は忘れました)からの抜粋だろうと思われます。交響曲と「管弦楽のための前奏曲」を除いて初CD化、特に僕には未聴の「EXPO'70のための…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (18)

カンペ見んな! 例の「愛は地球を救う」なるTV番組を少し見かけました。タレントやお笑い芸人までがいろんな歌を次々に歌い継いでいくスタイルが恒例のようです。歌というのは普通、メロディはいつの間にか憶えることができても、歌詞はそうはいかない。自分…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (17) ─旧─

──この記事は8月8日に移動しました。──

ひとりぼっちの宇宙人 (33)

第 IV 章 ダン=セブンという多面体 (2) 3 標的としてのウルトラセブン 第39・40話「セブン暗殺計画」 (2) ガッツ星人は、豪力怪獣アロンをダン=セブンに仕掛け、アロンとセブンの戦闘を映像に収め、セブンの能力を徹底的に研究する。その映像を見ながら、…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (17) ─追悼・松村禎三─

8月6日、作曲家の松村禎三氏が亡くなりました。享年78歳。 僕の先輩で、東京芸大の作曲科に進み、松村氏の直弟子になった人がいます。Hさんとしましょう。今日、ノンプロ指揮者小西収があるのは、このHさんによるところが大きい。もう一人はji-jiさんです…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (16)

マーツァルの「わが祖国」は、それほどではありませんでしたね。残念。宇野功芳さんがマーラーの第3か何かを絶賛していたので、期待もしたのですが。 マタチッチ/ザグレブフィルの実演を聴き直しましたが、こちらはやはりすごい。残響がおどろくほど長い(…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (15)

明日の「ベストオブクラシック」で、今年のプラハの春音楽祭における「わが祖国」が放送されるようです。 橿響への客演で「モルダウ」をやったのがきっかけで、「わが祖国」をよく聴くようになりました。スコアも全曲揃え、“読解研究モード”に入りつつありま…

クリ拾い (5)

テレビ大阪深夜の「歌ドキッ!」という番組で、「私は泣いています」をアヤカというタレント(歌手?)が歌っていたのですが、まことに軽薄短小に聞こえました。骨抜きというのはこういうののことを言うのだろうと思ってしまいます。 この歌は、詞も曲もりり…

ひとりぼっちの宇宙人 (32)

第 IV 章 ダン=セブンという多面体 (2) 3 標的としてのウルトラセブン 第39・40話「セブン暗殺計画」 (1) 怪獣アロンのモノクロ写真のスピード回転とショック効果音的な管楽器のトリル。「セブン暗殺計画」と銘打った本編にふさわしい映像と音楽でそれは始…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (13)

2007年 ──── 《美は教育はしません。》 ─中略─ 美的な完全さについての「一般的観念」はありません。バッハのフーガを聞くとき、完全なのはそのフーガ自体なのです。 (シモーヌ・ヴェーユ『ヴェーユの哲学講義』 ちくま学芸文庫、1996年、296頁) ──ヴェー…

ひとりぼっちの宇宙人 (31)

第 VI 章 ダン=セブンという多面体 (4) 1 悲劇のエトランゼ 第26話「超兵器R1号」(4) 星獣を、セブンはどうやって倒したのか。アイスラッガーを手に持ち、星獣の喉元の動脈?を斬り付けたのである。黄色い血しぶき?がセブンの顔面にかかり、瞼を閉じ絶命す…

クリ拾い (4)

──本稿とも関連する「さかあがり英作文.JP」について、大幅に改訂加筆した【新版】(タイトル未定)の連載を遅くとも年内に開始する予定です。乞うご期待。(2012年10月追記)── 英作文解答に関する「好奇心のわだかまり」について (2) 前回で、「表面的」逐…

クリ拾い (3)

──本稿とも関連する「さかあがり英作文.JP」について、大幅に改訂加筆した【新版】(タイトル未定)の連載を遅くとも年内に開始する予定です。乞うご期待。(2012年10月追記)── ようこそ、みなさん。「われ知少なし、ゆえにそれを求める」さすらいのフィロ…

言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (14)

作品のスタイルと演奏のスタイル (6) ──作品と表現の弁証法── いわゆるピリオド奏法、古楽器演奏、古楽器風スタイルが隆盛です。例えばベートーヴェンの音楽は確かに18世紀末から19世紀初めにかけて生まれました。当時、はたしてほんとうに、現在に古楽(風…

わかる人、わかる時、わかる可能性 2007 (2)

─── 《美は教育はしません。》 ───シモーヌ・ヴェーユ『ヴェーユの哲学講義』(ちくま学芸文庫、1996年、296頁) 教育とは一つの働きかけです。それに対して、美は、美からこちらには働きかけず、それを美と捉え得る者とのみつながりを持ち、そうでない者は…

ひとりぼっちの宇宙人 (30)

第 VI 章 ダン=セブンという多面体 (3) 1 悲劇のエトランゼ 第26話「超兵器R1号」(3) ─── マエノ「信じられません。ギエロン星は、温度270度、酸素0.6%、金星とよく似た燃えない焦熱地獄です。そんな所に生物が棲めるはずがありません」 タケナカ「しかし…

わかる人、わかる時、わかる可能性 2007 (1)

シモーヌ・ヴェイユ(→注1)(1909~1943)に僕が関心を持ち始めたのはごく最近のことです。図書館の開架図書に偶然『カイエ』や冨原眞弓氏(→注2)の著書を見かけ、面白そうだと思ったのがきっかけでした。ヴェイユは、その短い生涯で、哲学者として高校教…

クリ拾い (2)

──この記事は、その性質上、主題とした作品の“ネタばれ”を含みますので、予めご了承下さい。── 科学と空想科学 (1) 「特撮」批評を書いていて考えついたことの一つに、「科学的であること」と「空想科学的であること」(の違い・区別)の問題があります。約1…

ひとりぼっちの宇宙人 (29)

第 VI 章 ダン=セブンという多面体 (3) 1 悲劇のエトランゼ 第26話「超兵器R1号」(2) ===今回は引用が多くなったので、煩雑を避けるため、直後に逐一出典明示はしない。挿話名以外の「」内、および2本の───で囲まれた部分は、すべて(若槻、DVD[99g:26…

ひとりぼっちの宇宙人 (28)

第 VI 章 ダン=セブンという多面体 (3) 1 悲劇のエトランゼ 第26話「超兵器R1号」(1) 第25話「零下140度の対決」において、自己矛盾を抱えつつも改めて地球防衛の決意を固めるダンの悲壮な意志を見た。ダンは、その直後の本挿話において、何を考え、いか…