河上隆介指揮 セブンスターオーケストラ 第14回記念演奏会
プロコフィエフ:バレエ『ロメオとジュリエット』抜粋
「ロメオとジュリエット」(第1組曲第6曲)
弱音部も強奏のクライマックスも弦合奏に訴える力を感じ、後半のショスタコーヴィチの緩徐楽章への期待が膨らみました。
「タイボルトの死」(第1組曲第7曲)
開始早々から物々しい3拍子を低弦に向かって与え、ときに棒の先が小指側に来るように持ち替えて突き刺すような強奏をオケに要求、スネアドラム2台も加わり大迫力。
いずれも、劇的で大きな音楽を劇的に大きく盛り上げるのが何より得意な河上さんならではの表現を堪能。
第1楽章
冒頭の32分音符、奇数番目は飛ばし偶数番目は送る、というボウイングのフォルムが明快にアーティキュレーテドに伝わりました。
練習番号9、弦伴奏のポルタートを一切弾ませず、通常とはフォルムがまったく異なる、浮遊感漂う音空間が生成されました。今後もこの曲のここといえばこれが浮かぶだろうと思える、独特の表現。
再現部開始(展開部終結)部分の思い切ったリテヌート、ここのa tempo con tutta forzaのa tempoの意味は…?!やっぱり考えてることが近いなぁ😃
第2楽章
例えば、例の4拍子を挟んだ直後のホルンなど、もう少し弾けてもいいように思うも、棒も下への叩きでティンパニの伴奏リズムを振るのみ。ここは自分なら左手を2拍分以上ホルンへ向けてストップモーションにするかもなぁ…とか思って過ごしました。マーラー大得意の彼であればもっとマーラーのレントラー風になってもよさそうなところ、おとなしめ…に僕には聞こえました。逆にいえば、このややクールな運びはショスタコーヴィチ然としていてふさわしいとも🐰
第3楽章
先述の期待通りの弦合奏の美😌スケルツォで落ち着いていた分?こちらで燃焼🔥
第4楽章
ムラヴィンスキーよりも遅い?開始からaccelerando を経てバーンスタインより速い?番号98の次主題提示へ😆
この後、さらに漸加速!実は98直前に記されたこのaccelerando、スコア上は、番号98までではなく番号108のトランペットの主題に至るまでの実に約70小節に渡る持続的な加速の指示の端緒であるとも受け取れるのですが、なかなかそのように実行している(と聞き取れる)演奏がなく…知る限りこれまでコンドラシンとストコフスキーだけでした。本日、3例目の体験で、膝を打ちました。
このような刺戟を受けると自分ならどうするかも言いたくなり…僕なら、冒頭は逆に少し速めにし、代わりに番号98への加速感は最小限に留め、しばらくのあいだは十分遅く進めてから徐々にギアを上げていくことで、いつの間にか速くなっている…というのが理想🐵。それと、指揮者の奥義(明かすべからず?─後述)とか言いながら自分の方のネタバレはもう一つ書いてしまうと、最初の金管主題4小節のアクセントの有無の下品な強調😆はぜひ実践したい。特に後ろ3つの4分音符のアクセントに意味を感じています(細かいこと言うも出典確認は全音のミニチュアスコアのみです😅)
──話を河上/7オケに戻します🙇♂️──
ニ長調へ転調する直前1小節でモルトリテヌート、こういうベタな造型を彼はしばしば臆することなくやってのけてくれます。これがまた不思議なほど効き目があり、自分ではまず取ることのないスタイルだと思うと同時に、その自分が、その瞬間、気づくと大きな感動に打ち震えている🥹…「してやられる」とはこのことです。
そしてそれに続く快速なコーダでの、A音連奏のヴァイオリンの運弓、そのスピード感と音の張りの輝かしさ!視覚的にも聴感的にも素晴らしく、そうか、この曲のここってこれが正解だったのか…と心の中で唸って過ごしました。
同曲の読譜から生まれる「ここのコレ、どうする?」という問いやツッコミに、余す所なく回答してくれたような演奏でした。
終演後、控室におじゃましました。この7オケ終演直後の会談は我々の間では恒例となっていたものの、2020年は演奏会中止、一昨年は僕が諸用で出向けず、昨年は聴けるも会えず…でしたので、4年ぶりとなります。上記感想の“答え合わせ”もでき、「さすが小西さん、お見通しですね!」と過分な言葉ももらいました。
──その“答え合わせ”については、「指揮者の奥義」に触れる部分でもあるため逐一の詳述は控えますが、一つだけ。第1楽章番号9は、まさに大事にした箇所だったそうで、GPでも丁寧に分奏し確認されたとか。ムム、やはり…😌他に類のない響きと流れを強く感じたことにも十分合点がいきました。──
互いに、細部は違えど/違うからこそ、大枠の方向における音楽観/音楽勘はやはり近い、そのことを改めて確認できたことが何より嬉しく…固い握手を交わしました🤝
話に夢中になり過ぎ、写真撮るのを忘れました😅(以前の投稿&ツーショット↓)
https://trikado-muzika.hatenablog.jp/entry/2018/07/17/121557