音楽の編み物

シューチョのブログ

フルトヴェングラーのベートーヴェン(1)

ベートーヴェン交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 
GLAND SLUMレーベルのオープンリールによる復刻シリーズ、ワルター以外にフルトヴェングラーにも手を染めています。「…モノーラルとは思えない広がりと瑞々しさ…」という平林さんご自身の帯の言葉通りの音質。初めて耳にしたときの驚きが蘇ります。いえ、今回の方がさらにインパクトがありました。遅いテンポで有名な第1楽章が、以前よりもさらに遅く聴こえてきて、冒頭数小節で思わず「お!」「おぉ」「おーぉ!」と三度も唸り声をあげてしまいました(笑)。これまでも良質のリマスター盤では幾度となく体験してきましたが、音が良くなり、空気感・臨場感も奥深く再現され、テンポまでがまるで異なって届く。最晩年のフルトヴェングラーによって、明るくない音色で深く沈潜するウィーン・フィル、どこまでも内向的…。古楽奏法が主流となった現代のベートーヴェンであってみれば、今後こんな演奏が生まれることはもうほとんど期待できないのでしょう。唯一無二…。

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