音楽の編み物

シューチョのブログ

箕面高校OB吹奏楽団第10回記念演奏会を終えて (4)──舞台裏話の連載──

自分の指揮と吹奏の振り返りその4

 

平田智暁:ネストリアン・モニュメント

 

「マゼラン」同様、この曲も僕は 2nd Cl.と一部 Es Cl.の音符を(B管で)吹奏。マゼランほどはうまく吹けず、でもEs Cl.Solo 部分などまずまず及第点か?というところです😅。練習では、少人数の日には欠席の人のパートを吹くのも一つの愉しみでした。旋律が聞こえた方がやりやすいでしょ、ということにして😆おいしい所をいろいろ拾って吹いちゃっていました。

 

──以下、今回は6/25裏話からは話が飛びます──

作曲者の平田智暁氏とは、20012003年の夏に小林研一郎指揮法セミナー(注)で受講生としてご一緒させてもらったことがあります(僕が参加した上記3年のうちのどの年にお会いできたかまでは失念)。彼の方は僕のことはもう覚えていらっしゃらないかもしれないくらいの交流しかできませんでしたが。確か、当時彼はまだ大学生でした。「レオノーレ序曲第3番」の冒頭しばらくの緩徐部分について、poco rit. で小節線を跨いで次を振る指揮の身振りを示しながら「ここのこの、ドミナントからこう、トニックに移る瞬間、この“溜め”というかが、美しいんだなあ」(細かい言葉は僕のうろ覚え)と話してくれたときのことが今も僕の心にはありありと残っています。内容だけなら普通の楽曲解説風なんですが、いかにも作曲科学生らしい視点から出た「生の熱い言葉」に、僕はそのとき何だか感銘を受けたのでした。

 

注:2002年まで北海道女満別2003年は愛知県知立にて、23日の合宿形式で行われた、プロアマともフラットに受講可能だった指揮法の実践講座。FaceBook上でも何度か書いたように、指揮者・河上隆介さんともこのセミナーで知り合えて、意気投合したのでした。

 

曲へのピュアな関心ということでいえば、マゼランよりネストリアンに僕は惹かれます。木管に出る、スルメを噛むような細かい動機と緩徐部分の旋律美。終結でそれらが一同に集結する大団円、幾分地味な、それだけに確かな感動を呼び起こす造型です。特に緩徐部分は名旋律です。歌い出しの2つの8分音符と装飾を伴う5連符(歴史の語り部が思わず早口で喋るよう)が交互に2回ずつ、3度の和声で上昇していく符点音符の動きが2回(ここはいつも吹きながら涙腺が緩んでいました)、8分音符と5連符のリフレインと、4拍子の各小節の第4拍に毎度毎度心が揺さぶられます。途中、中央の音が半音下がった和声になって影が出る部分(ちょうど 2nd Cl. にその音が割り振られている)も味わい深い。

 

吹奏楽コンクール課題曲という作品群には、他にも確かに佳作名作が散見されると思います。が、いつも残念に思うのは、いい曲ほど、その内容を展開─充実させるには短過ぎ、無理して何とか時間内に詰め込んだかのように見えること。制限時間から解放された本来の「作品時間」はもっと長い(ことが想定されている)のではないか、と思わせるものが多い。長いバージョンも世に出ている真島俊夫「波の見える風景」や保科洋「風紋」などに限らず、です。「ネストリアン・モニュメント」も、例えば起承転結の転に当たるフーガの所など、もっと何小節も続いてほしいなあと思わずにいられません