音楽の編み物

シューチョのブログ

箕面高校OB吹奏楽団第10回記念演奏会を終えて (5)

自分の指揮と吹奏の振り返りその5

斎藤高順:オーバー・ザ・ギャラクシー

行進曲のコンクール課題曲中、「マーチ・オーパス・ワン(浦田健次郎)」に次いで僕の愛好する佳曲です。この短い定型行進曲に対して、僅かに異なる3種類のテンポを盛り込み、おそらく誰も手をつけない箇所で誰もそうはしないだろうアーティキュレーションをエイヤッと付け加え、ブルーノ・ワルター/コロンビアso.の名盤であるベートーヴェン1番の第1楽章主部 アレグロ・コン・ブリオ のような変幻自在の造型を目指しました。そこのところ、楽団の多くのメンバーにもよくわかってもらえたようで、手応え十分。満足しています。

 

 

藤原基央:なないろ(BUMP OF CHICKEN

練習では「1つのフレーズの中ではできるだけ圭角を削いで柔らかく、いわば“草書体”の吹奏で」と話しました。そして、全体としてそのようにフワッと流れながらも、いくつか、ぐっと角を付けて抉ることが必要な締めの箇所もあり。この曲の旋律線はそういうものだと捉えます。“止め”や“払い”をしっかりすることで一つの書が完成するように、一つずつの旋律が造型されていくのです。

 

こうした細やかなニュアンスは、初めての本番では大成功!とまでは行かなかった面も宇野功芳先生が、どの本だったか「同じ曲の演奏表現の理想をある程度完成させるには、少なくとも三度は舞台にかけたい」というようなことを書かれていたと記憶します。同じ気持ちです。そしてそれは、初回ながら会心の出来と思えた上述のオーバー・ザ・ギャラクシーにしても同様です。それに、「三度は舞台に」という話とはまた別な意味で、うまくいったと思える“得意技”こそ何度でもやりたい😃