音楽の編み物

シューチョのブログ

発掘!「旋律の造型学」

当サイト公開に向けて行った、過去に書き溜めてきたものの検索/整理の過程で、とうに散逸してしまったものと思い込んでいた「旋律の造型学」を自己発掘することができました。何のことはない、自分でかなり深い階層にしまい込んでしまったことを忘れ、見当たらないでいたというだけのことだったのですが(頭掻)、「紛失」をずっと悔いていただけに嬉しく、その公開は、当サイト開始に合わせての良い“記念行事”となりました。「旋律の造型学」は、当サイトでの公表にふさわしいと思える文章の中でも最も古いものに属し、執筆開始時期のはっきりとした記録はないのですが、第1章で言及しているトン・コープマンモーツァルト交響曲集CDの初出と同時期だとすれば、1990年代中頃ということになります。というわけで、発掘は嬉しいながらも、さすがに若書きに過ぎると思える部分もあったので、今回の公開に当たり、今の自分から見て違和感のある表現についてはできるだけ改め、内容・主旨は残しつつ加筆修正もしました。が、手が及ばず青さが残っている所もあります。いずれにせよ、今回の変更は、基本的には「1990年代中頃から2003年頃までの私の問題意識をもとに書いたもの」という線は守る方針で行いました。そういうわけで、今の私が同様のテーマで新たに書くならこれとは違ったものになるかもしれないという点はお断りしておきたく。ただ、みなさんから客観的に見れば内容も表現も最近の文とそれほど変わりない(進歩がない?)かもしれず。

 

特に懐かしいのは「わが心の師ブルーノ・ワルター。これは元々「旋律の造型学」の第3章「アーティキュレーターの系譜」の中の一節だったのですが、ちょうど内容的にも前後から独立しているので、今回は「旋律の造型学」から切り離し、これだけを別の1ページとして収めました。こちらも上記の方針に沿って多少の変更を加えましたが、「旋律の造型学」の他の箇所とは違い、内容そのものは今新たに書き下ろしても寸分違わぬものになりそうです。ちょうど今年(2015年)は、大部の伝記『ブルーノ・ワルター 音楽に楽園を見た人』(エリック・ライディング/レベッカ・ペチェフスキー/高橋宣也訳、音楽之友社)が出版された年でもあり、何だかタイムリーでいい気分です。