音楽の編み物

シューチョのブログ

一九世紀的人間…

最近の読書において、(それ自体は別に目新しくはない)音楽の時間芸術としての定義を柳宗悦の文中に見つけ改めて新鮮な思いで読み、ショーペンハウアーの音楽論に大きく首肯し、演奏会や聴衆というものについて自分が考えていたようなことを「おぉ、やっぱりすでにフルトヴェングラーが言っているじゃないか」と溜飲が下がり、……と過ごしていたところ、

──「一九世紀的な理想の時代は『人間の時代』」「二〇世紀的な虚構の時代は『人形の時代』」「しかし二一世紀の今日では」「人形でさえない」──

という、『文化亡国論』という仰々しいタイトルの本の中での作家の笠井潔さんの言葉を見かけました。

普段は、こういった人文社会系の評論や学問の「大まとめ言説」には「よほど多読なのか、文系の人って、よくまあこうすっぱりざっくり要約できるもんだなあ…」と戸惑ってきたのですが、今回ばかりは「ホーォ、なるほど、私は『人間』だったんだ。よかったよかった…」と妙に納得したのでした。

上述の「最近の読書」についてはいずれ「ハードカバーと白熱電球」にでも。