音楽の編み物

シューチョのブログ

トリカード・ムジーカの集い ─2022年7月─

弦4部、Cl.1、Hr.2、Tp.3、Pf.、指揮者の12人による先月のトリカード・ムジーカ。写真は、集いの様子は撮らなかったので代わりに演奏曲の総譜を。

 

現トリカード・ムジーカの編成には特に音のすこぶる良い“ホーム”のホールに場所が戻った上に、史上初めてトランペット奏者が3人集まったので、シベリウス第2の、フィナーレの冒頭からBまでとR付近から終結までを初見で合わせてみました(写真3〜6枚目)。残響豊かなホールに予想以上の壮麗な響きが広がりました。

 

1987年冬の大学オケでの同曲の演奏は、数年後の同オケの演奏会のアンケートにも「小西のシベリウスがまた聴きたい」と書く人がいらっしゃったほど人気がありました(ホント)。その当時も弦の人たちは「シベ2は意外といける(易しい)」と口々に言っていましたが、今回も「おいしい」という声が(笑)。

 

エロイカ第1楽章コーダ、例のトランペットの主題の所(写真1枚目)ですが、ここには昔から私独自の秘策(注)がありまして、久しぶりに1st、1アシ、2ndの3本という2004年“初演”当時さえ叶わなかったフル体制で秘策の音符の流れがパーフェクトに鳴るのを聴けて、たいへん嬉しかったです。

 

注:秘密にしたい気持ちが強いわけではありませんがブログで投稿拡散?するようなことでもないとも思い…。8小節の旋律の繰り返しの4回目、手前3回の構造を受ければこうする(なる)のが最も自然であり、自分としては「なぜ誰もこうしないのか、不思議で仕方がない」とずっと思っています…。「そもそもベートーヴェンがなぜこう書かなかったのか…自然過ぎてかえって気恥ずかしくなり、やめた?!」とさえ…と好機嫌ついでに口を滑らせておきましょう。

 

ブラームス第1、フィナーレ279〜284小節(写真2枚目:アルペンホルン再現の直前、シンコペーションの半音─跳躍音程の断続するいかにもブラームス的な箇所)で「4分音符をテヌート、具体的には“8分音符2個をタイでつなげた音”として感じて弾いてください」とお願いすると、8分休符については一言も触れていないのに、1つ(2拍)進む度にどんどん溜まっていってテンポにブレーキがかかっていき…明らかにやり過ぎているんですが、止めてやり直す気には少しもならず、大時代的事大的表現が生まれる瞬間に自ら立会えた喜びを味わいました。こういう合わせ方って、直接その流れを意図/指示してやるようなことではなく、意図/指示したところでそうそうその通りにできるようなことでもなく…。ひょっとすると19世紀生まれの巨匠たちを前にした昔のオーケストラの奏者たちは、自発的にこのように感じて弾いていったのかもしれない…という想像も膨らみました。弓を長く使う右手に加え、左手の押さえもしっかりするからなのか、音色も適度に湿度が出る感じで、「速くて軽くてカサカサ」の現代的奏法(の一つ)とは真逆の良さが出たように思います。