音楽の編み物

シューチョのブログ

わかる人、わかる時、わかる可能性 (16)

 高専ロボコンには、勝敗に関わる「優勝」「準優勝」のほかにもたくさんの賞があり、なかでも、「ロボコン大賞」は、その年の大会で最もすぐれたロボットに与えられる栄誉です。サレジオ高専のサイトのリンクを辿った人はおわかりでしょうが、「二戦錬馬」はそのロボコン大賞を受賞したのです。地区大会・全国大会を通じて1勝もしなかったロボットが大賞。過去にこのような例があったかどうか確認できていませんが、なかなか痛快ではありませんか(→注1)。

高専ロボコンにおいては、優勝と同様もしくはそれ以上に嬉しいのがロボコン大賞の受賞であることが想像できます。審査員特別賞(これは別立てで設けられています)的な位置づけではなくて、優勝と同等かそれ以上という位置づけであることが重要です。アイデアと技術を競い、それらがすぐれていれば確かに勝つ可能性も高い。しかし、勝つか負けるかということのみに集約されるわけではない。「勝敗だけが大事なのではない」と外から言うだけなら、どんな世界においても(スポーツの世界でさえ)可能です。が、高専ロボコンでは、大会そのものの賞与の在り方が、大会自体の主旨を自己相対化するように設けられているのです。これはやはり、コンクール/コンテストとしてはユニークな例といっていいでしょう。

以上、概ね高専ロボコンに対して肯定的な僕ではあります。しかし、高専・工業技術・ロボット等について僕は完全に素人ですから、僕が音楽・吹奏楽吹奏楽コンクールに対して採る立場・目線と同レベルで高専ロボコンを見ることのできる人がいたとして、その人がどう言うのかという点は気になります。やはり、僕が吹奏楽吹奏楽コンクールについて考えるのと同じような、無邪気に肯定することなど到底できないような“負の広がり”を持っているのでしょうか。ただ、これは想像でしかありませんが、高専ロボコン吹奏楽コンクールの両方の世界と自分との距離がたとえ同程度であっても、やはりロボコンの方がおもしろいと言うだろうな…とは思いますね。

次回の(17) も、引き続きロボコンの話題です。おたのしみに(笑)。

注1:当然ですが、「なるべく負けたロボットから大賞を」というような不文律もありません。2006年には詫間電波高専が史上初の「優勝・大賞のダブル受賞」を果たしましたし、準優勝チームが受賞することも多かったようです。