音楽の編み物

シューチョのブログ

わかる人、わかる時、わかる可能性 (24)

 高専ロボコン2008全国大会、ロボコン大賞は津山高専「キカイタイソウ」。津山高専は、2007年も力のあるロボットでしたが残念ながら地区大会決勝で敗退、リーダー?の彼が2007年と同じで見覚えがあったのです。おぉ、やはり今年もすごい、と思いました。変身パフォーマンスの所でロボットが鉄棒で大車輪をする、というもので、確かに会場は大いに盛り上がっていました。

ということで、申し分ない、と言いたいのですが、地区大会の放送を見た者としては、「鉄棒の方を回転することで駆動している」という情報について既知であるため、同じようには盛り上がれません。つまり、脚の動きの制御だとか重心の移動だとか手の握りの部分を滑らせて(無理?(笑))とかいった、ロボットの身体側での技術がメインなのであれば正真正銘の「大車輪」と認めてよいと思うのですが、そうではなかったのです。ま、それでもすごいのはすごいのですが。それと、多足歩行ロボットが、スピード重視の、「ギア型」とでも「ヘラ型」とでも呼べるような、足首から先がさらに多足になっていて、車輪とほぼ同様の安定感を得て“走れる”というものだったことも僕としてはマイナス評価です。試合はタイムを競うのですから、当然ながら、対戦に強いチームのロボットにこのタイプが多かったのですが、こういう「ルールをかいくぐった工夫」というのは僕は(ひょっとすると多くの人も)何となく「ずるい」と思ってしまう。やはり、「歩行らしい歩行」を見せてくれるか、あるいは逆に、動物的でないロボット特有の動きを「ルールの網の目」から逆説的に造り出すことで「え、これが歩行?」と驚かせてくれるという方向か、どちらかを期待するわけです。

大賞は、僕なら岐阜高専「Zin」を選びます。あの多足歩行時の木製ロボットの脚の動きの美しさは、今年僕が見た(未視聴の九州地区大会を除く)どのロボットにも見られない唯一の魅力でした。加えて、二足歩行ロボットの方も、人型のものとしては全国一ではなかったかと。少なくとも津山のそれよりは歩行が安定していて、両腕が操縦者と全く同じ動きをするセンサー式であるところも特徴的で、番組では稲垣吾郎MCの対話相手になるなど、大いに活躍していました。

2007年は何といってもパフォーマンスのすばらしさでサレジオ高専が大賞に選ばれました。では2008年もパフォーマンスで湧かせた津山高専の大賞受賞が妥当なのでしょうか。それはちょっと違うと思います。サレジオ高専「二戦錬馬」は騎馬戦というテーマに真正面に向き合い、それを追求したからこそあの愛らしいパフォーマンスに行き着いた。しかし、津山「キカイタイソウ」の「大車輪」は今年のテーマ「歩行」とは無関係で、サブテーマ?の「踊り」「変身」とも間接的にしか関係しません。そこへ行くと岐阜「Zin」は文字通り「歩行」の美しさで魅せてくれた。僕が評価するのはこの点です。

 さて、もう少し詳しく書きたいのですが、BS2の全試合版は録画に失敗したため未視聴。たいへん悔やまれます。たぶんそちらの方がかなり面白かったのではないでしょうか。特に今年のルールあるいは番組の編集からすればそうだったでしょう。その理由なども含めて、次の「わかる人、わかる時、わかる可能性(25)」もこの話題を引っ張ることにします。