音楽の編み物

シューチョのブログ

わかる人、わかる時、わかる可能性 (29)

 さて、今回もそれ自体は期待通りおもしろかった高専ロボコンでしたが、全国大会のTV番組としての構成にはかなり不満です。特にBSの方は、当然全試合実況中継を期待したのですが、もろにダイジェスト編集版でした。いえ、放送時間の制約からもある程度のカットは避けられないのでしょう。それは仕方がありません。解せないのは、メイン音声が会場の実況ではなく、アナウンサーの後入れだったことです。良く巧く入れられるのならばまだしも、タネ明かしの後に手品を見せられるに等しい野暮な解説が挟まれるかと思えば、番組製作スタッフによる稚拙なロボコン観を押し付けられる、といった具合で、まったくよけいなお世話でしかありませんでした。

以前「BSアニメ夜話」に関して書いたことにも通じますが、テレビというのはほんとうに「視聴者の想像力・鑑賞力に預ける」ということができなくなりました。…いえ、一括りには言えませんね。例えばCSでのF1中継の実況・解説は、地上波のようなコテコテ・ギラギラのうるさい演出の無い、かなり落ち着いたものです。で、そういうCSの方にまさに、比較的質の高いその実況音声さえも排せる「現地音声のみ」のオプション設定が用意されている、という…。放送局の個性の問題なのか、それとも、「少数の高み」においてやっと実現するということなのか…。──ここで「少数」とは、「地上波でもやっている番組のCS放送版である」という意味や「F1というものが、通の視聴者層を少数ながら一定程度持っている」という意味があるでしょう。── あるいは、けっきょくはそこに関わるスタッフの質によるとも言えそうです。