クリ拾い (30)
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」について。ときどき見かけるこの番組、いつも思うのは、外国(アメリカのみ?)の俳優たちの答や話には含蓄・味わいがあるなあ、ということです。深く豊かな言葉を聞けることが多い。先述のブルック・シールズにしてもそうでした(前回の引用だけではなかなか伝わらないでしょうが(苦笑))。ブルック・シールズは確か僕と同い年ですが、同世代の日本の俳優たちなど、何だか浮ついていて、同じくらいの中身のある話が聞けるかというと、とても無理だろうと想像してしまいますが、偏見でしょうか…。
ただ、インタビューする側の問題もあるでしょうね。インタビューというのは、回答者がどんなに偉くても面白くても、聞き手がつまらないとその聞き手のレベルにまで落ちてしまう。
そういえば、つい先日、連続テレビ小説『ウェルかめ』で、主人公がある建築家へインタビューするが、いろいろ聞いても答えてくれないと訝しがり、せっかく隣のアシスタントが現在の相手の関心の急所をとらえ得て流暢な話を引き出したのに、それに対しては「何言ってるのかようわからん」と嘆く、という場面をちょうど見かけました。自分の質問がつまらないから相手が答える気にならないのにそこがまったくわかっていない、なおかつ、一度きりの珠玉の相手の言葉を本気で受け止めようとしない、という…。「私ってダメだ」と落ち込んでいましたが、その通り、そのまま辞めて、ハイ、物語終わり、でもええぞ、とさえ思いました(笑)。つまり、それほどによく描けているのです。
しかし、どうにもねじれているのは、外国の優れたインタビュー番組や、駆け出し編集者の拙さを巧く描写したドラマを届ける当の放送局が、本来の自前のインタビュー番組などでは、ゲストのせっかくの深い話を敬って聞くことができず、まるでその「上前をはねる」ような形で上目線でまとめ、最後は必ず自分の声で締めようとするアナウンサーばかりであるということですね。