音楽の編み物

シューチョのブログ

松村禎三のオペラ『沈黙』放送

言の葉と音の符 楽の譜は文の森

9月27日(日)深夜24時20分(28日(月)0時20分)からのNHKBSプレミアム「プレミアムシアター」は、松村禎三のオペラ『沈黙』。今回放送されるのは今年6月に行われた公演のようで、それがあったことを最近になって知り、情報収集を怠けていた自分に悔やみ固まっていたところでした。今回も何とはなしに番組表を巡回していて偶然見つけたという…。それでも放送を事前に知ることができてよかったです。

もう10年ほど前になりますか、山下一史指揮─大阪音楽大学ザ・カレッジ・オペラハウスによる大阪公演を生で聴いたときのそれはそれは深い感動を思い出します…。

その大阪公演と同じく今回も主役ロドリゴを演じる小餅谷哲男さんは、私の高校の先輩。クラブ活動も同じ。3年違いのためもあって残念ながらお付き合いはありませんでしたが、大阪の『沈黙』公演の後や、その数年後には何と学校行事でお会いするご縁に恵まれ、ご挨拶を交わしたことがあります。ロドリゴが神に向かって訴え叫ぶ(といってよいような)場面(不確かながらそのような場面があったと記憶します…)ところでの熱唱はすごい。

そして、遠藤周作による原作にはない登場人物である女声のオハルのアリアも、終始暗い筋書きの中にもオペラ=音楽としての肯定的美を添える必然的な箇所であり、全曲中の白眉の一つ。まさにブルーノ・ワルターのいう、作品自体の表現する悲劇性苦悩性と並行してつねに音楽自体が普遍的に持っている“「否(いな)」の中の「然り」”の部分に当たる箇所だろうと思います。

というわけで、他のオペラのことはよく知りませんが(頭掻)、『沈黙』が間違いなくオペラ史上の稀なる傑作であることだけは自信を持って言えます。ぜひぜひ見ましょう、聴きましょう。