音楽の編み物

シューチョのブログ

相撲プレイヤー若乃花(3)

クリ拾い(22) 2009年2月

シューチョのアーカイブ (5) ──1999.1.13.「相撲プレイヤー若乃花(3)」──

 


昨日は風邪でダウンしていましたが、そのおかげでリアルタイムで対出島戦での若乃花の「蹴返し」を見ることができました。いやあ、実にあざやかに決まりました。幕内で「蹴返し」が決まり手になるのは3年ぶりだそうです。前回は誰だったのでしょうね。「内掛け」や「無双」など、脚がらみの技を若乃花は得意としていましたが、最近、大関横綱と番付が上がるにつれてあまり見られなくなって残念だったところでした。横綱になったからといって「強さを見せつける」義務はありません。これからも若乃花には、相手にも相撲を取らせつつ揺さぶった上で技を決める、「巧さで魅せる」相撲をプレイしてほしいですね。

そう。玉木正之氏がその著書『プロ野球大事典』で長嶋茂雄のことを一言「ベースボール・プレイヤー」と書いたことにあやかり、僕は若乃花のことを「相撲プレイヤー」のサブネームで呼びたい。

ちょうど今、大相撲ダイジェストで、昨日の若乃花の蹴返しを話題にし、元鷲羽山の出羽海親方が、「親方も現役時代、大きな高見山をあざやかに蹴返しを決めて敗ったことがありますよね」と言ったアナに答え「あまりほめられた技じゃありませんね。決まったときはいいが決まらなかったときにみじめな負け方になる。やはり片足を上げるわけですから」と言っています。その通りなのですが、ここは「またまたご謙遜を」と言っておきましょう。そう、鷲羽山もやはり小兵力士でした。ハンディを背負っているからこそリスクを知りつつ技に出なければならない、その分ぎりぎりの巧さも身につけている。そういうところが魅力的なのです。舞の海も、幕内時代の全盛期に15番いろいろな技を次々に披露して場内を沸かせました。幕下に番付を下げたのを見て多くの知ったかぶり相撲ファンは「やっぱりああいう相撲ではいつまでも通用しないな」と冷ややかに言うのでしょうが、それが何でしょう。そういうことは本人が(勝っていた頃から)一番痛感していたはずです。ほんとうの相撲ファン舞の海ファンは、番付がどこになろうが、しっかりその相撲を見届け応援していることでしょう。