言の葉と音の符 楽の譜は文の森 (61) チョン・ミョンフン&フランス放送po.「悲愴」
本日のNHK-FM「ベストオブクラシック」。チョン・ミョンフン指揮フランス放送フィルハーモニー管弦楽団のチャイコフスキー「悲愴」。いやあすばらしい!どうしたチョン・ミョンフン。やるじゃないか。21世紀、芸術音楽演奏史的にはとうに冬枯れの時代かと思いきや、これほどどこまでも彫りも呼吸も深く、どこもかしこも作品の本質に大きく一歩も二歩も踏み込んだ表現の演奏が聴けようとは。
両端楽章では造型が私の構想と酷似する箇所もあり「そうそう!」「やられた!」と悔しい喜び。もちろん似つつも違うから、それもたのしい。
第3楽章のアプローチも「え、そりゃあそれも考えたけど、実際にやるの?!」という思い切りのよさ。終結直後に当然のように拍手が置きたのも理解できます。また、それが収まるのを待ったのか待たなかったのか、フィナーレの開始のタイミングというか間の計り方も絶妙。出の弦の四分音符一個で客席の空気をすうっと然るべき空気に変える。
第2楽章(中間部以降は未聴(頭掻))の自然なワルツは、まるでオーケストラの乗った流れにすっかり委ねているかのように聞こえるほどです。中間2楽章とも、その主部は、だから、速いのか遅いのかよくわからず、ただただ音楽があるべきように進んでいく感じでした。
最近、ラジオのストリーミング放送のおかげでMacとmp3レコーダによる「エアチェック」をときどきやるようになったのですが、せっせとカセットテープを録り溜めていた中学高校時代のワクワク感がよみがえったような気分も味わえました。久しぶりの保存版となりそうです。