音楽の編み物

シューチョのブログ

クリ拾い (43)

 『相棒 -劇場版 III- 巨大密室!特命係絶海の孤島へ』を見ました。公開されたばかりの作品ですので、内容についてはオフィシャルサイト等で既出のこと以外はなるべく書かないように気をつけますが、それでもネタバレ的な面も避けられないかもしれないことを、念のため予めお断りしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「絶海の孤島」で活動する民兵組織、迷彩服の登場人物多数、“ウィルス”、等々、僕としては、辟易する要素ばかりで、『相棒』でなければ映画館を出ていったかもしれないほどでしたが、これらスペクタクルな展開にするための安直ともいえる素材をなぜ次々と投入したか。そして、それだけのお膳立てを設けたにしては、それらに不似合いとも思えるほど、相棒の二人や脇を固める常連たちのフットワークや台詞運びがどこかしら普段にも増して軽妙なタッチで進むのはなぜか。寓話的挿話の多かった『相棒12』の後とはいえ、この設定で寓話的演出を持ち込むのは不自然ではないか…。

 

しかし、終盤のあるシーンに来て、膝を打ちました。サブイボものでしたねえ。このシーンのためにすべてが用意されたといっても過言ではないと僕は受け取りました。

 

オフィシャルサイトの「STORY」欄から少し引用します。

 

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東京に無理矢理運ばれた特命係の2人は、自衛隊が秘密裏に備蓄していた”あるウィルス“が島の謎と関係していることを突き止める。

〜〜〜

外界から完全に閉ざされた孤島=巨大な密室での事故調査は、殺人事件捜査へと変貌し、さらには防衛省警察庁、国の権力者たちが暗躍する得体の知れない大きな謎の真相究明へと突き進んでいく。最後に明らかになる、世界衝撃の真相に特命係は辿り着けるのか!?

======(オフィシャルサイトから引用)

 

これを僕は帰宅してから読んだのですが、何と、これらの説明がすでに当のシーンの意味を明示しているともとれます。

 

「絶海の孤島」とはどこか。迷彩服の多数者とは誰か。”ウィルス“とは何か。暗躍する得体の知れない大きな謎とは…。

 

いやあ、やってくれますね…。こういう作りは、もはや「伏線」という語では弱く、僕の用語である「フィクションの自己活性化」という言葉がまさにふさわしいと思います。

 

そして「ゴールデンウィークは、相棒!」というキャッチフレーズも、あるいは、水谷豊さんがあちこちで言っていた「相棒史上最高に高密度なミステリー」という宣伝文句さえも、その一連に含まれるのか、とも(かってに?)気づきました。

 

これだけのメジャーな作品で、ここまでできるのかと少し驚きました(何だそこまでかという人もいそうですが)。ひとまず素直に拍手を送りたいと思います。