音楽の編み物

シューチョのブログ

言の葉と音の符、楽の譜は文の森 (38)

 16日(月)、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー/読売日本交響楽団の「ミサ・ソレムニス」を聴きに東京へ。しるばーさたん氏の所にも詳細レビューがあります

大作です。第1曲「キリエ」で合唱がフォルテで入った一瞬、さたん氏がとってくれた1階後ろ中央の席で真正面からこの歌声を浴び、早くも感動。全5曲中、前半の第2曲「グローリア」で既に大迫力で盛り上がるのが普通ですが、「グローリア」は意外におとなしく、はぐらかされたような気もしたのも束の間、次の第3曲「クレド」で爆発。一気呵成かつ濃密な、「第九」のコーダのようなノリが何分も続きました。ミスターSは指揮棒を振り落とし、必死に献身するオーケストラの中ではヴィオラのトップサイドの弦が切れ…。後で思ったのですが、これは、「前半は抑えめで」という長丁場の造型を構想したミスターSが、しかし本来燃え上がってよい曲想の「グローリア」で我慢したため、「クレド」で一気に噴出してしまったのではないか、と。ともかくも、これで聴き手のわれわれの集中力も後半に向けてぐっと高まり、その後の「サンクトゥス」の静かな弦合奏や「アニュスデイ」の暗い開始部分までもがいつにも増して意味深く届き、この大作を通して聴く貴重な体験となりました。