音楽の編み物

シューチョのブログ

クリ拾い (7)

  まとめんな!

 「BSアニメ夜話」を最後の十数分見ました。『カウボーイビバップ』という作品を特集していました。といっても、この作品、僕はまったく未視聴(頭掻)。では何について書くのかというと、たいへん卑小な話題で申し訳ないのですが…。

 未視聴であっても、岡田斗司夫さんの批評は毎度ながらおもしろく、また、脚本の佐藤大さんの最後のコメントも“中身のある熱さ”が伝わり好印象でした。エンディングテーマ曲も流れてきて、これで「今日はどうもありがとうございました」…で終われば、番組としてもすばらしかったのに。佐藤さんの後に司会者が口を挟み、「ということで、この『カウボーイビバップ』という作品は……で……でしたね」とか何とか、中身のないことを言って自分がまとめようとする。特集作品のスタッフしかもメインライターの脚本家をゲストに呼んでおきながら、こんな、“締めの役をかすめとる”ようなことを平気でやれる神経がわかりません。まったく、この放送局のアナウンサーは、いつもいつもこうなんですよね。もちろん問われるべきはアナウンサーの個人責任ではないでしょうが。どうせ「視聴者のみなさんにわかりやすくかみくだいて伝えることをモットーとしております」というようなところでしょう。その毎度の「出しゃばりの使命感」によって、番組の後味が台無しになる。噛み砕かれるのです。どうしてわからんかなあ。まさか、発言するなと言っているのではありません。「最後にまとめるな」と言っているのです。それだけはやめろ、と。「“いらんことしい”の“知らんこと言い”」という友近のネタを思い出します。

 「この局のアナウンサーはいつも」と書きましたが、他に「行政主催の講演会の締め」などでも見かけますね。主催者側の誰かが進行役のようなことをやり、最後に自分の感想か何か言ってまとめようとする。

 何度でも言いたいのですが、まとめるな!ということです。それは往々にして「まとめ」ではなく「まとはずれ」であり、全く無意味か、著しく矮小化させるか、よくて断片化するだけに終わるか、しかない。貴重なゲストのコメントが、それぞれの講師ならではの内容を持つはずの長時間の講演が、簡単にまとまるはずがないのです。それは、見終わった視聴者・帰路の聴衆がする作業です。そうやって視聴者・聴衆に預けていくことこそが、司会進行役の使命でしょう。進行役は「自分の理解よりも視聴者・聴衆の理解の方が深い」ことに想像力を働かせよ。「視聴者のみなさんにわかりやすく」などというのは、そういう繊細さとは反対の、極めて傲慢・無礼な態度と言えます。

  

 そういえば思い出しました。祖母の綾が生前、上記放送局のS木やY川といった当時のベテランアナウンサーの司会するバラエティー番組を見かけては「こいつ、ほっんまに好かん!」と吐き捨てるように言っていたものでした。「私が教えてあげましょう、というように視聴者を上から見てものを言っているのが見え見えだ」という綾の怒りは、僕の上記のそれと類似していますね。