音楽の編み物

シューチョのブログ

ひとりぼっちの宇宙人(14) II.1

第 II 章 ダン=セブンという多面体

1 スーパーヴァイザーとしてのダン=セブン

  第1話「姿なき挑戦者」

 モロボシダン初登場。前章でも触れたように、謎の風来坊としてどこからともなく姿を現し、ウルトラ警備隊ポインターの前に立ちはだかるのだ。堅苦しい隊員服のフルハシ、ソガに対し、ダンの身なりは黄色いウィンドブレーカーに寝袋リュックであり、彼の余裕ぶりを象徴する。さて、ダン=セブンの二重性は、この第1話において早くも提示されるのである。クール星人の透明円盤の攻撃に苦しむ地球防衛軍。「ダン、あなたの地球がピンチに立たされているのよ」と迫るアンヌ。それに応えてダンは特殊噴霧器を使って円盤を見えるようにすることを提案する。「あなたの地球」。アンヌは、微塵の疑いもなくダンを自分と同じ人間=地球人と認め、「あなたの」すなわち「私たちの」地球という意味で呼びかけたが、ダンにとって地球はその意味においては「自分の」ものでないことは明白である。しかし同時に、宇宙人でありながらこの美しい星・地球に留まってその平和を守ろうとするダンにとって、「自分の地球」と所有格で言えるほどの特別な思い入れがあることもまた確かなのだ。