音楽の編み物

シューチョのブログ

クリ拾い (35)

 俳優・竹脇無我の訃報に驚きました。和田浩治、大坂志郎松山英太郎…、『大岡越前』出演者がまた一人故人となり…。僕の“「見る目」の育ての親”である大叔母の節子が、好きでした。加藤剛との、当時屈指の「二枚目」共演に、母と節子が毎週欠かさず見入っていました。

 主題曲は山下毅雄。哀愁を帯びて始まるも、“短調のドラマ性”を伴って、短い時間で山頂まで早足で登るように盛り上がる名旋律。クラシックに入門する以前の時期に僕を捉えた音楽の中でも、最高品質の1曲でしょう。山下の同種の曲としては、『ルパン三世』第1シリーズのエンディング曲が挙げられましょうか。ワンコーラスの中で、ふと転調してすぐまた元の調に戻る(つまり2度転調する)という具体的な類似点もありますね。

 音楽、画面に漂う雰囲気、どことなく“静か”な演技・演出、ネアカ?な『水戸黄門』とは、語りこそ同じ芥川隆行なるも、まさに好対照に作られた、すべてが渋い時代劇でした。

 竹脇無我は、その渋い声も魅力的でした。『岸辺のアルバム』では、確か初め数話は電話の声だけの出演で、その美点がみごとに活きていたと思います。