音楽の編み物

シューチョのブログ

ワンダ・ランドフスカのバッハ、モーツァルト

ワンダ・ランドフスカ。先日ふと,Youtubeの「平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番の聴き比べ」という動画で知って、驚き。すっかり魅了されました。通のみなさんには「知らんかったんかい!」とつっこまれそうですが(頭掻)…さっそく入手。オーケストラと違って室内楽や独奏は音の分離の問題が少ないので、こうした古い録音でも比較的聴きやすいのも幸いしますね。


特にバッハの録音は、どこにマイクを仕込んだのか、まるでチェンバロの中にいるような聴感。ランドフスカのタッチと造型が純粋に直に伝わってくる感触があって、実際の“生の音”に近づける現代の録音では却って味わえない類の良さがあると受け取っています。


モーツァルトK.333の冒頭からのアゴーギクもすごい。いえ、私も(誰もが?)思いつく一つの表現なんですが、まさかほんとうにやるとは…。全体を通じて遅く静かで寂しげで、そこここでルバートがかかり、提示部終わりの左手が装飾めいたり(バロック的?)と、貶すなら「甘く弱々しい」「モーツァルトでない」ということになるのでしょうが…。私にとっては、どの場面も、これまで愛聴してきたリリー・クラウスハイドシェック、クリーンと比べても、最も身近な表現で、自分が弾いているような感じで聴けます。