音楽の編み物

シューチョのブログ

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アンドレアス・シュタイアーのモーツァルト

言の葉と音の符、楽の譜は文の森 (44) 2009年11月 ──本記事は、シュタイアーのモーツァルトのCDについて、ネタバレ的内容を含みます。本盤はすでに最新の新譜ではないとは思いますが、一応お断りしておきます。── アンドレアス・シュタイアーのモーツァルト…

三田にて

言の葉と音の符、楽の譜は文の森 (57) 2014年3月 レンタカーを借り,三田プレミアムアウトレットに繰り出そうとしたのですが、中国道の出口を間違えて「神戸三田 IC」よりも 手前の「西宮北 有馬 三田 IC」で降りてしまい(紛らわしいなあ)、それならいっそ…

発掘!「旋律の造型学」

当サイト公開に向けて行った、過去に書き溜めてきたものの検索/整理の過程で、とうに散逸してしまったものと思い込んでいた「旋律の造型学」を自己発掘することができました。何のことはない、自分でかなり深い階層にしまい込んでしまったことを忘れ、見当…

一九世紀的人間…

最近の読書において、(それ自体は別に目新しくはない)音楽の時間芸術としての定義を柳宗悦の文中に見つけ改めて新鮮な思いで読み、ショーペンハウアーの音楽論に大きく首肯し、演奏会や聴衆というものについて自分が考えていたようなことを「おぉ、やっぱ…

ベームの名演奏

言の葉と音の符、楽の譜は文の森(34) 2009年1月 シューチョのアーカイブ(1) ──1999.1.25.「ベームの名演奏」── 2009年が明けました。今年もよろしくお願いします。 僕には「眠らせたままではもったいない未発表原稿」がまあまあ多数ありまして(笑)、この場…

厚化粧に隠された涙─ゲルギエフの芸術─

言の葉と音の符、楽の譜は文の森 (35) 2009年1月 シューチョのアーカイブ (2) ──1998.12.14.「厚化粧に隠された涙─ゲルギエフの芸術─」── 「アーカイブ」第2弾です。ワレリー・ゲルギエフ&マリインスキー劇場管弦楽団の1998年大阪公演について書いた文章で…

追悼 松村禎三

言の葉と音の符、楽の譜は文の森(17) 2007年8月 8月6日、作曲家の松村禎三氏が亡くなりました。享年78歳。 僕の先輩で、東京芸大の作曲科に進み、松村氏の直弟子になった人がいます。Hさんとしましょう。今日、ノンプロ指揮者小西収があるのは、このHさん…

エリック・ハイドシェック ピアノ・リサイタル

言の葉と音の符、楽の譜は文の森(42) 2009年9月 サンケイホールブリーゼにてエリック・ハイドシェックを聴きました。 本割りは ハイドン:ピアノソナタ第59番 シューマン:「子どもの情景」 休 憩 ハイドシェック:5つのプレリュード ドビュッシー:「子ど…

梯剛之 ピアノ・リサイタル

言の葉と音の符、楽の譜は文の森(40) 2009年5月 宝塚ベガホールで梯剛之リサイタルを聴きました。 梯のピアノは、実演が聴けることを心待ちにしながらも、数年前高槻など近くへ来たときも日が合わず、ようやく聴ける機会に恵まれました。エリーゼ、七つのバ…

鶴見俊輔『限界芸術論』

言の葉と音の符、楽の譜は文の森(41) 2009年8月 鳥取の「こぶし館」に「島田文庫」というのがあります。その書棚に鶴見俊輔『限界芸術論』の初版第1刷を見つけました。 有名な本なので存在と名前は知っていました。おそらく、ちくま学芸文庫版が出たときに…

音楽の情熱的本質

言の葉と音の符、楽の譜は文の森(47) 2010年6月 『美の中の対称性 数学からみる自然と芸術』(新井朝雄 日本評論社 2009年)の第6章「音楽の基礎数理と対称性」冒頭で、著者は、ライプニッツの「音楽は魂が自ら行うひそかな数学的実践である」との言葉を引…

Apple Watch??

クリ拾い(50) 2015年5月 Apple Watch,売れ(てい)るのでしょうか。 僕はこれについて,AppleのページとTVのCMでしか見ていません。ネットやメディアでの評(判)を知らないまま,書いてしまっておきます。 Apple Watchは,これまでのAppleの製品とは全く成…

クリ拾い(11)

2007年12月 渡辺裕/増田聡ほか『クラシック音楽の政治学』(2005年、青弓社) 7人の著者による、「クラシック音楽」を社会学的に扱った論文集。つまり音楽の《内容》ではなくその《周縁》を論じています。

相撲プレイヤー若乃花(1)

クリ拾い(20) 2009年2月 シューチョのアーカイブ (3) ──1998.5.30.「相撲プレイヤー若乃花(1) 」── 今年の大相撲初場所は朝青龍の復活優勝で幕を閉じましたね。僕はどうしても朝青龍を好きにはなれませんが、彼へのバッシングはもっと嫌いです…。さて、シュ…

相撲プレイヤー若乃花(2)

クリ拾い(21) 2009年2月 シューチョのアーカイブ (4) ──1998.5.30.「相撲プレイヤー若乃花(2)」── 僕が若乃花のファンである理由は、「弟思いのやさしいおにいちゃん」という人柄がポイントなのではなく、あくまで相撲の内容が主です。彼の相撲には味がある…

相撲プレイヤー若乃花(3)

クリ拾い(22) 2009年2月 シューチョのアーカイブ (5) ──1999.1.13.「相撲プレイヤー若乃花(3)」── 昨日は風邪でダウンしていましたが、そのおかげでリアルタイムで対出島戦での若乃花の「蹴返し」を見ることができました。いやあ、実にあざやかに決まりまし…

わかる人、わかる時、わかる可能性(2)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 1995年(ウェブ初公開は2006年9月) 「私の体は、私だけのものではない」─『ウルトラマン』最終回で、倒れた自分を迎えに来た故郷の星の仲間に向かってウルトラマンはこう告げます。そして、「自分が…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (4)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 1997年(ウェブ初公開は2006年11月) 本校の中学生たちにとって何より幸福なことの一つは、Y先生の伴奏で校歌を歌えることでしょう。各学期の始業式と終業式の度に、さらには入学式や卒業式で(この…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (5)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 1998年(ウェブ初公開は2006年9月) 大学受験浪人の時でした。当時通っていた予備校の英語講師・表三郎(おもてさぶろう)先生が、授業中に居眠りをしている受講生を見つけて言った言葉です。──「彼…

わかる人、わかる時、わかる可能性(6)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 1999年(ウェブ初公開は2006年10月) 指揮者とは何か。指揮活動とは何か。小学6年の運動会でのドラムメジャー(バトンとホイッスルで鼓笛隊の行進を率いる先導者)の経験にまでは遡らないとしても、…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (8)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 2001年(ウェブ初公開は2006年10月) 僕が吹奏楽部の彼女ら彼らと一緒に練習するとき、極力しないことが2つあります。「怒る」ことと「直す」ことです。しないようにしているというより、すっかりス…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (9)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 2002年(ウェブ初公開は2006年11月) ─── [……]子どものやっていることについて、一々一々実に気になって仕方のない方があります。子どものしていることの何とまずさよ、何とへまなことよ[……]それ…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (11)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 2004年(ウェブ初公開は2006年12月) 『ウルトラセブン』第26話「超兵器R1号」において、惑星1個を丸ごと消滅させるほど強力な爆弾R1号の実験が成功し、ウルトラ警備隊員たちは「これで地球の防…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (20)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 2008年4月 演出家の竹内敏晴さんは、若い時に耳の病気がだんだんわるくなり、聞こえない状態になって、その後また聴力を取り戻す、という過程を辿ったそうです。その独自の芸術論・教育論を最近知り…

わかる人、わかる時、わかる可能性 (25)

吹奏楽部顧問時代(1994─2009)の演奏会パンフレットより 2009年5月 もう5~7年前になりますか、北海道女満別の小林研一郎指揮法講座に3回連続で参加したことがあります。先生のお弟子さん数人を除き、受講生のほとんどがアマチュアでした。初参加の年、…

作品と表現の弁証法

いわゆるピリオド奏法、古楽器演奏、古楽器風スタイルが隆盛です。例えばベートーヴェンの音楽は確かに18世紀末から19世紀初めにかけて生まれました。当時、はたしてほんとうに、現在に古楽(風)として行われているスタイルのように演奏されていたのかどう…

作品のスタイルと演奏のスタイル (1)

メンデルスゾーンやシューマンの辺りが、自分にちょうどいいのではないかと思うことがあります。いわゆる前期ロマン派で、でも、シューベルトではちょっと手前過ぎる、という。文字通りロマン的でありながら、古典の運びを残しているので、造型しやすい。 マ…

作品のスタイルと演奏のスタイル (2)

言の葉と音の符、楽の譜は文の森 (10) 2007年1月 ──以下は、「椿姫」の具体論ではなく、一般論としてお読み頂ければ幸いです。僕は「椿姫」については全く不勉強ですし、手もとに資料もありません。例えば「咳」について、全くの大野の独創なのかそれとも台…

作品のスタイルと演奏のスタイル (3)

言の葉と音の符、楽の譜は文の森(11) 2007年2月 僕自身はというと、「シャコンヌ」や「黄金の調和」には、テンポ・強弱・漸強弱以外に細かい指示というものはほとんど書き込んでいません。面倒くさいのです(笑)。どう表現するかなんて、そんなこと、音符を…

作品のスタイルと演奏のスタイル (4)

言の葉と音の符、楽の譜は文の森(12) 2007年2月 ベートーヴェン第5第1楽章の運命動機が僕には「ベートーヴェンの涙の粒」に見えます。これは作曲家の意図とはかなり異なるでしょう。それはわかっていても、そう捉える自由はあると考えます。いえ、自由があ…