音楽の編み物

シューチョのブログ

シフのベートーヴェン

サー・アンドラーシュ・シフ&カペラ・アンドレア・バルカによる、ベートーヴェンPf協奏曲全曲演奏会。1日目は2、3、4番、2日目は1、5番。
 
無限のニュアンスに満ちた自在な表現。少人数のオーケストラが、そのシフに、ついていくというより、微笑んで苦もなく付けている。テンポを落としたときの弱音の美に息を呑み、ここぞという場面の意志的な最強奏のパワーに圧倒される。
 
シフは、ブルーノ・ワルターが「アダージョ、アンダンテの領域」と言った第1楽章ソナタ形式の第2歌謡主題に、悉く繊細なテンポを与え、8分音符が連続するような旋律では一音ずつ細かくわずかに前後に揺らし、スルメを噛むようにフレーズを編み込んでいく。これこれ。こうでなくちゃね。出不精の僕は生にこまめに足を運ぶわけではなく、よく知りませんが、たぶん今日(こんにち)の演奏では珍しい造型なのではないでしょうか。
 
余裕というかゆとりというか、かつて聴いたハイドシェックもそうでしたが、アンコールも長いまたは多い。ピアノの名手というのは、弾きたくて仕方がないんでしょうか(笑)。1日目の休憩前に独奏曲(曲名失念)、4番の後にアンコールで5番の緩徐楽章…ん、てことはアタッカでそのままフィナーレに突入?と思ったらその通りに来ました(笑)。…とくれば2日目は…予想通り5番の後に4番の2、3楽章を続けて。そしてさらにラストは、オーケストラのメンバーも聴き入る中、告別ソナタの2、3楽章を続けて!たっぷりの2日間でした。
 
1日目にはアフタートークも。これが…話が長い。長!(苦笑)。残念ながら中座させてもらうことになるほど。いわゆる指揮者要不要論なども出ました。これについては書くと長引くので今は控えます。

 

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