子門真人──日本ポピュラー歌謡史上最大の名歌手
この人について書きたいとずっと思ってきました。
今やほとんど音源からしか接することのできないこの人の歌を、映像付きで鑑賞できるとは。しかもそれがCSなどではなく地上波で放送されるとは。
「料理天国」なら毎週見ていたはずですが、さすがに再放送に恵まれない一期一会の場面は記憶に留まってはいませんで、それだけに、“新しい映像”として触れることができました。わずか1コーラス、しかも絵はたい焼き作りの方が長かったのではありますが…。
しかし、そもそもそういう「惜しさ」というのは、大なり小なりこれまでもこの人を見る/聴くときには避けられないこととしてありました。この人に触れられるのは主に特撮/アニメーションの主題歌・挿入歌の録音によってです。それはそれだけでもう十分、他の何人も成しえなかったたいへん豊潤な世界です。が、それゆえにこそやはり、もっと「普通の」歌謡曲・J-Popも歌い残してくれていればどんなによかったか、存在本来の力と大きさに比すれば、残った仕事はあまりに少なく狭い…という思いもずっと消えることはないわけです。